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4月のある日、妻からの申し出でiPhone用カーナビゲーションアプリ『NAVIelite』の「写真アルバムから検索」を使ってドライブすることにしたのだが、正直疑問ばかりだ。
まず、なぜ妻が『NAVIelite』を知っているのか。しかも、位置情報付きの写真をもとに目的地設定が行える「写真アルバムから検索」という細かな機能についてまで、なぜ知っていたのか……。
しかし、その点を追及しても笑って逃げられてしまっては、知る由もない。今回も、イタズラ好きな妻のたわいないお遊びなのだろう。そのイタズラにのってあげるのが、夫婦円満の秘訣だと思っている私は、素直に彼女の指示に従うことにしたのだ。
妻からの指示は次のようなものだ。私が都内のとあるレンタカー屋まで行く。そこに着いたら妻に連絡を入れる。すると、写真が送られてくるので、iPhoneを車に取り付け『NAVIelite』でその場所まで行く。目的地に着いたら、その証として妻が送ったのと同じ写真を撮ってくる……。
妻の目的に皆目検討がつかず、私はレンタカー屋に向かったのだが、現地に着くと、そこにはなぜかカメラマンがいた。カメラマンは妻に頼まれてやってきたと言っており、作業の指示しか受けていないという。これは一体、どんなお遊びなのだ?
レンタカー屋で手続きを終えると、私たちは車に乗り込み、車にiPhoneを取り付けた。使用したカーマウントは『Tetrax XWAY』。エアコンの吹き出し口に取り付けるタイプだ。
そして、妻の指示通り、彼女に連絡を入れると一枚の写真が送られてきた。それが下の写真である。
『NAVIelite』を立ち上げ「写真アルバムから検索」で送られてきた写真を設定すると、どうも東京都世田谷区の砧公園付近が目的地らしい。「いったい砧公園近くに何が……?」と思いを巡らせていると、それを遮るようにカメラマンから「早く準備して出発しましょう!」とケツを叩かれた。
準備を終え、レンタカー屋を後にしてからも、カメラマンに「なぜ、あなたがいるのか」などと詰め寄ってはみたのだが、何も答えてくれず。問い詰めるだけ無駄だった。
妻の性格上、自分が仕掛けたタネをそう簡単に悟らせるようなヘマはしない。運転中ということもあり、私はカメラマンへの詮索を止め、目的地へと急ぐことにした。きっと、目的地へ行けば何かわかるはずだから。
しばらく車を走らせると、土地勘のない道になった。住宅街に入り、その先を行くと緑の生い茂る、都内のイメージとはかけ離れた道に。普段はとても好んで選ぶようなルートではない。『NAVIelite』が案内したのはそんな道だが、右左折する交差点では、詳細な拡大図で向かうべき進路を案内し、そして絶妙のタイミングで音声案内をしてくれた。
高価なカーナビと同じ感覚で運転しているが、案内を行ってくれる『NAVIelite』はiPhoneのアプリ。時代の移ろいを感じさせるなぁ……などと考えていたら、目的地として示された砧公園付近に到着した。
出発してから小1時間たっただろうか。『NAVIelite』の案内のおかげで妻から送られてきた写真の場所へとすんなりと到着できた。周囲を見渡すまでもなく、目の前には写真と同じ風景が広がる。早速、妻に連絡を入れ「写真で検索した場所なんだけど、砧公園近辺でいいよね?」と聞いてみることに。すると、「あー、そう。もう着いたんだ」と返事が……。
しかし、いったい、なぜ砧公園付近なのか。そのことを頭をフル回転させて考えていると妻から新たな写真が送られてきた。その写真もまた何を意味するのかわからないものだった。写真からは、正直、何も思いつかない。しばらくは、妻の指示に従って動くしかないようだ。
いそいそと写真を撮影し始めるカメラマンに疑問を感じながらも、同じ手順で今し方妻から送られてきた写真から『NAVIelite』で目的地を設定した。今度は板橋区のとある公園付近のようだ。
早速、砧公園付近を後にして、環状八号線を北上する。途中、八幡山駅周辺で国道20号(甲州街道)へと入り、「そういえば、妻と出会った会社は板橋区だったよなぁ」などと昔を懐かしんでいたところでひらめいた。
ん! ひょっとして、この道程は私たち夫婦の過去に、何か関係があるのではないだろうか。そういえば、結婚する前、ふたりで砧公園に行ったことがある。もしかしたら次の目的地もその付近をデートしたのかもしれない。そう思いながらも、第2の目的地周辺までやってきた。
さて、いよいよ第2のポイントまでやってきたが、自分の推察はあっているのだろうか。そこは、閑静な住宅街のなかに位置する公園周辺。デートした記憶は……、う〜ん、蘇らなかった。
が、きっと一緒に歩いていたんだろうなと。結婚してから、もう10年にもなるなと感慨にふけりながらも到着したことを妻に報告した。
妻に電話すると、「ちゃんと辺りを見渡してね。看板とか……」と意味のわからない指示が出た後で、間髪入れずに「それじゃ、次の写真、送るわね♪」と言われ、電話が切れた。
隣でクスクス笑いながら写真を撮影し続けるカメラマン。妻からの意味不明な指示。謎のゲームはまだしばらく続くのであった。