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キーマンインタビュー

スクエニに聞く! 新感覚アプリ『Imaginary Range』の狙いと展望(後編)

大澤昌弘 2011/06/16

リリース後、わずか3週間で30万ダウンロードを記録したiPhone/iPad向けアプリの『Imaginary Range』。謎の敵『Ω(オメガ)』により襲撃されたフランスを舞台に、主人公たちの"現実"と"夢"をめぐる戦いが描かれたコミックアプリだ。オールカラーで描かれ、コミックを読み進めていくと、ストーリーに関連したミニゲームがプレイでき、ゲーム、コミック、音楽が融合した新感覚のアプリだ。

前編に続き、後編では制作段階での工夫や今後の展望までをスクウェア・エニックスの橋本真司プロデューサーらに聞いた。

プロデューサーの橋本真司専務

イラストを担当した板鼻利幸氏

シナリオを監修した鳥山求氏

制作段階ではこんなところを工夫した!

──制作過程で苦労した点や工夫した点については?

板鼻 「ボリューム感」を出すことを一つのキーワードにしていて、お得な感じを与えようと苦心しました。それからゲームとコミックを融合させたかったので、いかに自然な形でゲームに移行できるかに苦労しましたね。

橋本 大人がカフェで見ても恥ずかしくない作品に仕上げたかった。相当細かいところまで、指示してお願いしましたね。

──たとえば、どういうところでしょうか。

板鼻 コミックからゲームに移行するところで、効果音が出てゲームに移行できないかというところなんかですね。結構、細かいところまでオーダーが入りました。

橋本 iPhoneとiPadでみたときの細かな画質の違いが生じるので、その調整も大変でしたね。

──ゲームはどのようにして挿し込んだのですか?

板鼻 初めに海外で人気のHiddenゲームやパズルゲーム、それからアクション要素を入れようというと決めて、いくつかのパーツを用意しておきました。コミックの初めから終わりまでの進行表を作って、ストーリーのどこに入れると自然な流れになるかを模索していきました。

橋本 コミックのなかに「Pad」というiPadというか、平板状のアイテムが出てくるんですけど、それを操作する感覚を与えられるような感じのものにしました。

板鼻 橋本がいったようにiPadありきで始めた企画なので、それに似たものがあると面白いんじゃないかと。

鳥山 割と現実の世界とリンクするような作品をつくりたかったんです。だから、今作に登場するキャラクターのシドが「Pad」というアイテムを使うというストーリーにしたかったというのはあります。

ゲームへの移行シーン。中央をタップするとこだわりの演出が出現。こだわりの演出はアプリでご覧あれ!

──ゲームとコミックの融合というところでゲーム会社の技術力を生かしたところはありますか。

橋本 iPadがどのくらいの性能をもっているのかを手探りで進めた部分はありますが、今作をゲームという視点から捉えると、まだまだ料理できると思っています。もっと、大冒険ができるのかなと。こっちはプレイステーション3などでゲームを作っているわけですから、まだまだ実現したいことはたくさんあるんですよね。

板鼻 コミックの吹き出しは自動生成されて、テキストを流し込むと勝手に吹き出しが作られるようにできているんですよ。日本語では問題がなくても、フランス語だと文字数の関係で吹き出しが伸びてしまったりだとか、コマごとに拡大率を変えみたりだとか、そうした調整はいろいろと行っています。

こうした部分はゲームならではのところがあるのかなと思います。でも、自然で快適であればあるほど、誰も気づかないという(笑)

鳥山 コミックを拡大しても意外とフォントのサイズが保たれたり、吹き出しやコマ割の演出といった細かいところは、僕たちゲームならではの技術を使っていますね。

一方で、ゲームには制約があって、例えばエッフェル塔よりも大きなモンスターを出して戦いたいとなると、複雑な手順を踏まえなければいけない部分があるんですけれど、コミックベースだとその制約がなくてやりやすく感じた部分もあります。

今作を無料にした理由、そして次回作への展望

──これだけのコンテンツを無料で配信したのはなぜでしょうか。

橋本 先ほどの話に戻りますが、大きく悩んだこととして、どうやってこのアプリでビジネスをしようかということもありました。このアプリを有料にして、通常のコンシューマービジネスを展開することもできたんです。

けれど、それでは間口が狭くなってしまいます。新しい取り組みに挑んだ作品なのに、課金するのはどうかということを社長の和田と話し合った結果、無料となりました。まずは「みなさん、こんな作品はどうでしょうか」と提示したわけです。

この作品には続きがあるので、次回作以降、様々な形で課金のスキームを入れようと考えています。とはいっても、次回作が有料になるとは決まっているわけではありません。まさに、それをいま模索している段階ですね。作業としては2巻の途中まで進んでいるので、それほど遠くないタイミングで断片的な情報は出せると思いますよ。

──ストーリーを進めていくなかで、そもそもゲームが必要なのかという辛辣な意見もありますが。

橋本 そういう意見はたくさんいただいたほうがいいんですよ。まだ1巻だけしかリリースしていませんし、このジャンルは手探りの段階です。融合型の作品を手がけるのは初めてなので、様々な意見があって然るべきだと思います。多様な意見を2巻以降に取り入れられればと。

一方では、ゲームに頼らなくても認められたのかなと、そういう思いもあります。ゲームに頼らなくても、ストーリーに引っ張られて先を読みたい、というのは仕掛ける側からすると嬉しいですよ。

けれど、それだけでは新しさがなくなってしまうので、ユーザーが煩わしく感じないように次回作はより一層、丁寧にやりたいなと。何か新しいことをやらないと、ユーザーから「またか!」と思われてしまいますから。ユーザーの心にちょっとだけ刺さるというところが大事ですね。

鳥山 僕たちが普段作っているRPGの基本には、経験を積んで、腕を磨いていくことで、そのご褒美としてストーリーの先が見えてくるというものがあります。それが僕たちの基本的な作品のつくり方なので、そこは押し通していきたいなと。

──私自身も何度もやりましたがシナリオが難しい。序盤だとおっしゃっていましたけど最終的には理解できるんでしょうか?

鳥山 わかるようになっています。どこまで続けられるかは人気次第ですけど。

橋本 ストーリーの起承転結はできているんですよ。この作品が続くかどうかは、もう、みなさんの応援次第(笑)

鳥山 この緊張感もたまんないです(笑)

橋本 6月にはアンドロイド版をリリースするので、夢の50万ダウンロードを達成したいですね。かなりの認知度のある作品になりますし、そうなってくれればいいなと思っています。

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