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『iPad*iPhoneで巡る江戸世界』は、iPadやiPhoneをお供に時代小説の舞台となった地を巡る連載企画です。古地図アプリで当時と今の位置を確認したり、写真共有サービスなどを使う方法など各種Tipsもまぜながら、ちょっとイマドキな散歩をご提案します!
1千万都市、東京。かつて江戸と呼ばれたこの街は、震災や戦争、高度経済成長期の再開発を経て大きく姿を変えた。しかし、目を凝らせば、八百八町の名残りはそこかしこに。耳を澄ませば、いまなお江戸の息遣いすら感じられる。
我々人とて同じこと、身に携えるものが刀や扇子から携帯電話に変化しても、日本人としてのアイデンティティはいまも保たれているはず。誰もが時代小説をSFではなく史実に近い話として受け止めてしまうのは、その証左だろう。いや、そうに違いない。
では、江戸の昔を現在の東京に重ねるとどうなのか。時代小説に描かれた風景は、完全に街から消え去っているのだろうか。iPadとiPhoneを携え、それを探ることが、本連載の趣旨である。
江戸時代における旅の必携品といえば、手拭いに扇子、旅枕に薬。筆と墨壺を小さくまとめた「矢立」という道具も欠かせなかったという。手拭いと薬は現代も大差ないとして、旅枕と矢立はいかにも時代を感じさせるようだが、さにあらず。枕は収納を兼ねたバックのような存在であり、矢立はいわば筆記具。道中の様子を書き留めるために使われた矢立の役割は、現在では携帯電話に引き継がれていると言えないこともない。
ガイドブックに相当する「絵図」も、よく利用されたらしい。ご存じ歌川広重の東海道五十三次は、一種の名所案内だ。富士の絶景が見える地点に立ち、ここが絵に描かれた場所だねえ、などと弥次喜多似の二人が話していたに違いない。
多少強引だが、iPad/iPhoneは「現代版絵図兼矢立」となりうる。絵図や観光データなど必要な情報をいつでも引き出せることはもちろん、筆記具としても使える。GPS搭載機であれば、どこにいるかを正確に把握することもできる。さすがに旅枕はどうかと思うが、それに相当する収納バックさえ用意すれば、江戸の世界を巡る準備は万端だ。
本連載的には、iOSアプリ「東京時層地図」を推したい。かんたんに言うと、Googleマップに古地図を重ねて表示するアプリだが、古地図上にGPSによるリアルタイムの現在地を表示できるので、「いまいる地点を古地図上で追える」のだ。これを電車やバスに乗ったときに利用すると……移動とともに古地図上を青丸が動く様子を楽しめる。
残念ながら、収録されている最古のデータは文明開化期(明治9-19年)のものだが、地図からうかがえる街並みは江戸時代の雰囲気が色濃く残されている。今後はこの「東京時層地図」を仕込んだiPhoneを相棒に、"現在の江戸"を巡るつもりだ。
Googleマップにせよ「東京時層地図」にせよ、江戸巡りにGPSは欠かせない。3G通信に対応しないiPadやiPod touchも、GPSなしで位置情報は取得できるが、アクセスポイントの位置をもとにおよその位置を求めているに過ぎず、数十メートル以上もの誤差を生じることが少なくない。通りや坂の名、旧跡の位置を確認するためには、ある程度正確な位置情報を返すGPS搭載機が必須だ。
iOSでGPSの機能を利用する場合には、「設定」→「一般」→「位置情報サービス」を開き、「位置情報サービス」スイッチがオンに設定されていることを確認する。電力消費量を節約するため、iOSではアプリごとにGPSのオン/オフを設定できるが、肝心の「マップ」や「東京時層地図」など利用するアプリがオフに設定されていては意味がない。とくに位置情報付きの写真を撮影できる「カメラ」は、撮影後に設定がオフとわかっても後の祭りとなるため、必ず事前に確認しておきたい。
標準装備のアプリ「マップ」は、目的地がハッキリしているときには最高の案内役となりうる。基本的な使い方は、まず付近の駅名や施設名(ただし有名なもの)などざっくりしたキーワードで検索し、表示された地図を拡大/縮小するなどして目的地を割り出す、という流れだ。もちろん、正確な住所を入力するに越したことはない。
目的地を表示できたら、そこにピンを打とう。操作はかんたん、目的地を2秒ほどタップし続ければOK。ピンを打っておけば、連絡先やブックマークに登録するなどして後日利用できるうえ、位置情報をメールで誰かに伝えることもできる。電車の乗り換えを含め、GPSで調べた現在地からピン位置への道順を案内してもらうこともできるので、出掛ける前は面倒がらずに作業しておこう。
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試しに「泉岳寺」で検索したところ、地下鉄駅が赤い丸で表示された。近くに目的地を発見、任意のピン(紫)を打ってみた |
ピン右横の矢印をタップすると、このように位置情報を活用するためのさまざまな処理項目が現れる |
江戸巡りには写真撮影が欠かせない。iPhoneできれいな画を撮りたいなら注意しておきたい点がある。
iOS 4.1では、カメラに「High Dynamic Range(HDR)」画像生成機能が追加された。HDRとは、露出が異なる複数の写真を合成し、いわゆる白飛びや黒つぶれの少ない写真を生成する機構のこと。現在のところ対応するのはiPhone 4のみ、iPhone 3G/3GSでは利用できないが(サードパーティー製アプリを使う手はある)、風景や建物など動かないものの撮影にはかなりの力を発揮する。
論より証拠、まずは下の写真をご覧いただきたい。左がHDRオフで右がHDRオン、木の枝の数がまるで違って見えることがわかるはず。HDRをオンにすると、露出アンダー/通常/露出オーバーの3枚の写真が同時に撮影され、その後1枚に合成されるのだが、その結果ダイナミックレンジは拡大、より人間の視覚に近い色レンジの写真に仕上がる。結果として撮影時の光量をあまり気にせずすむため、江戸巡りのように重装備が難しい撮影スタイルに好都合なのだ。
なお、露出ごとに被写体が動いてしまう場面では、画像合成処理を行うと「ブレ」が生じてしまう。動物や乗り物には効果を発揮できないので、念のため。
では、次回よりiPad/iPhoneをお供に江戸の街へ繰り出すことにしよう!