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このiOSアプリ*サービスに学ぶ!

ブラウザゲームを作るならHTML5対応フレームワーク『Impact』で

中津川篤司 2011/01/18

このiOSアプリ*サービスに学ぶ!』は、オープンソース情報ブログ「MOONGIFT」管理人の視点から捉えたiOSアプリや周辺サービスから、ユニークなもの、興味深いものをピックアップし、そのポイントを解説していきます。iOS(iPhone/ iPad/ iPod touch)デバイスの利用者、その環境向けのアプリやサービスを開発している方はぜひお読みください!

iPod touchの登場以来、iOSデバイスは大きな画面、位置情報、マルチタッチ、加速度センサーといった先進的技術が盛り込まれ、これらを活用したゲームアプリがとても人気を集めている。通常、ゲームアプリはネイティブなObjective-Cを駆使して開発されているが、今回はHTML5を使って開発できるフレームワーク『Impact』を紹介しよう。

「Impact」のWebサイト。HTML5でゲームが開発できる

■今回の注目アプリ*サービス
名称 Impact
概要 HTML5でWebブラウザ向けゲームを開発できるフレームワーク

「Impact」は、HTML5対応のJavaScriptで、iOSのみならずHTML5対応のブラウザで動作可能なゲームを開発できるフレームワークだ。「Impact」で開発したHTML5ゲームは、環境に応じて操作スタイルを変えられる。たとえば、この横スクロールアクションゲーム「BIOLAB DISASTER」は、PCのWebブラウザでプレイする場合は、キーボードの矢印/X/ Cキーを使うが、iPhoneの場合は画面下部に表示されるパッドで操作する。ボタン構成や表示位置はゲームによって変更可能となっている。さらにPC、iOSそれぞれの実行環境に合わせて表示メッセージを変更できるなど、かなり柔軟な作り込みが可能なようだ。

サンプルのゲーム「BIOLAB DISASTER」。画面下に並んでいるのが操作キー(iPhone 4で実行)

「BIOLAB DISASTER」をGoogle Chromeで実行しているところ

ボールを左右に動かして下に落としていくゲーム「Drop」。ソースコードが公開されている

ゲームの動作速度は、iOSデバイスのMobile Safari上であっても実にスムーズだ。設定次第だが、60fpsを指定できるし、サウンドも鳴らせる。また、Mobile Safariの設定でゲームのブックマークをホーム画面に保存しておけば、ネイティブアプリを起動する感覚でプレイすることができる。

Impact Game Engine Running in Mobile Safari from Dominic Szablewski on Vimeo.

また、「Impact」には「Weltmeister Level Editor」というツールが付属する。このエディタを使うとWebブラウザ上でグラフィカルにゲーム用マップを作成できる。出来上がったマップはiOSはもちろん、PC向けにも使えるマルチプラットフォームなものだ。グラフィック部分の制作は非常に手間のかかるものだが、同エディタを使えば作業を効率化できるはずだ。

「Weltmeister Level Editor」の画面。ドラッグ&ドロップで操作できる

「Impact」で開発したゲームは動作が思った以上にスムーズで、十分に遊べるレベルなのがすごい。PCのようなパワーがある環境はもちろん、iPhoneのようなデバイスであってもそれは変わらない。もちろんグラフィックを多用しているゲームは難しいときもあるようだが、作り方次第で克服できるはずだ。

Tutorial: Create a Game with Impact from Dominic Szablewski on Vimeo.

開発方法

開発にはApacheとPHPを使うため、特定のOSに限定されることはない。現在はIISとの組み合わせで動かすためのプロジェクトも進んでいるようだ。当然だが、開発したタイトルはすぐに提供を開始できる。

ビジネスモデル

「Impact」は無料のソフトウェアではなく、1ライセンス99ドルで販売されている。これだけゲームがもてはやされている昨今、マルチプラットフォーム、マルチデバイスに対応したゲームフレームワークとしては格安かもしれない。

利点

開発したゲームをマルチプラットフォーム、マルチデバイスで展開できる点は大きなメリットといえるだろう。iOSアプリのように開発環境がMac OS Xに限定されないところも利点だ。iOSデバイス向けの提供という点で考えると、App Storeでの審査がないため、開発終了後にすぐ公開できるし、ネイティブアプリでは審査を通過できない類のゲームでも提供できるというメリットがある。HTML5とJavaScriptで実装されているので、Objective-Cのような新たな言語を覚える必要がないのも開発負担が少なく済む。

欠点

いまのところ、ゲームを読み込んでその場で遊ぶものばかりだ。データを保存する仕組みは欲しいが、その点については「Impact」では提供されていないようだ。そしてネットワークがなければ遊べないという欠点も大きい。ネットワークのつながりが悪い環境ではプレイするのは辛いかもしれない。

ゲームジャンルの向き不向き

いま「Impact」で提供されているゲームは、横スクロール系アクションや上から見下ろした形のRPGとなっている。ユーザーが作成したゲームとしては、タイピングで敵を倒すシューティングゲームもある。ゲームの向き不向きでいえば、「Impact」の動作は高速なものの、格闘ゲームのような動きの激しいものには向いていないだろう。また、ネットワーク対戦型のような複数人でプレイするゲームにも対応していない。

ユーザが開発したタイピングとシューティングを合わせたゲーム

まとめ

今、モバイルで動作するゲームがホットだ。ネイティブアプリの開発もよいが、Webブラウザだけでインストール不要で遊べるのは開発者とユーザー双方にとって手軽でありがたい。しかもHTML5の登場によって、Webブラウザ上での表現力も増している。「Impact」は高い表現力とレンダリング能力を備えており、Webベースのゲーム開発に役立つはずだ。

さらにPhoneGapのようなJavaScriptをネイティブアプリ化する技術もある。これらを組み合わせればデバイスの壁を超えたゲーム開発も実現するはずだ。

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